私はGear8でディレクションをしています。前編は入社する前のことしか書いてないので、ちっともギアエイトでのディレクションという仕事が伝らないまま終わってしまいました。後編を書くにあたりミッションとして「Gear8で働くと面白いよってことを書いてよ!」ということを言われました。さらっと一言で言いますけどこれまとめるの至難の業です。そういうキラキラの会社じゃないです。20人未満の小さい地味なディレクションやってる会社です。
私のポジションは、経営とか数字の管理はしてないタイ現地法人に出資した役員で、社歴は気づけば最年長。実務面では札幌でアートディレクションの要素が強めの案件を中心にメインディレクターとして動きつつ、タイ・台北の案件のディレクションサポート、一部自社メディアの開発や国内向けの採用、自社ノベルティデザイン担当をしています。2020年に10拠点作るというちょっと無理そうな会社目標もあって、新しい拠点の候補になる海外都市のFS調査に行くこともあります。
そんな私のディレクターとしての今の業務状況と、考えていることを本音で書き散らすことにします。こういう風に考えてる人もいて、成り立ってる会社というのが伝れば幸いです。
Gear8の月曜朝ミーティング
テーマ「わがままに生きる」は今もできているか
アラフォーになってやっと自分のことがわかってきたのですが、私はちょっと人より好奇心が強くてまあまあ飽き症、同じことを繰り返し続けるのが苦手、だいたい3年スパンで新しいことに刺激されないとつまんなくなってくるたちです。完璧になれなくてもいい、だいたいできたらOK、そんな人間が同じ会社に8年所属し続けているわけは、小さい所帯で小回りがきいてちょっとずつ新しいことを始める環境があるからです。組織らしい枠組みがあんまりなくて、縛りが少なく、ゆるい集まりみたいな空気の会社です。必要な制度や規則は担当スタッフが考案して社長と都度話し合って決めているみたいです。
楽に仕事してるかというとまあそうでもないです。しょっちゅうギアエイトさんは忙しいですよね・・・と言われます。そうですね。。ただ、働き方改革が叫ばれる昨今、オフィスで働く時間は激減しました。日常で触れるすべてが仕事につながっている(新しいアイデアにつながるとか)と言っても過言ではない仕事内容なので、頭はそんなに解放されてはないかも。それにその分短時間でもめっちゃやるってことじゃないですか。メインの進行中案件10~15件+提案5件+運用系って感じでしょうか。
北川さんは仕事が好きなんですね、ともよく言われますがそんなことはないです。根本的なデザインするとか創造するとかいうことは好きですが、おもしろくても長くずっとやるのは苦手なんです。ちょっとタフなだけで別に体育会系でもないし。どんどん体力は落ちていってるし楽して生きたいのにってずっと文句言いながらやってます。ほんとわがままだって言われます、好きなことを仕事にしてるのに。いいんです、文句は言うけど仕事するから。
なんでこの仕事を続けるのか
面白いことをやりつつ商売にしつつ生きていくにはいろんな技量・知識が必要です。それでなくても世の中はどんどん新しくなるのでどんどんアップデートしていかないと古いOSみたいに需要がなくなっちゃう。そのスピードも生半可じゃない、これはしんどい戦いです。だからこれまで身につけたベースのスキルセットに肉付けしに、新しいことをどんどん獲りに行かなくちゃいけない。
じゃあ新しいことってどこにあるのか?仕事です!
私はただ美味しいもの食べて楽して生きたいのに、プライベートでそんな勉強熱心に新しいこと吸収できません。確かにプライベートでも趣味の知識の深堀りはできるでしょう、一般生活者としての知恵も蓄積されていくでしょう、でも全く興味ないことなんて知りようがない。なので私は仕事で関わるついでに、その周辺情報は根こそぎ自分の知識にするつもりでやってます。仕事に必要なことは仕事でやる!というメリハリにもなります。
幸い弊社はいろんな業界やビジネスモデルのお客さんと関わりがあり、必要とされる分野も瞬発力重視で短期決戦のプロモーションなんかよりは、たくさん調べて考えて言葉やかたちに抽象化するブランディングとか、海外という新しい市場へどう伝えるか、という類の仕事が多いです。その上スタッフも少ないので、これ以上未知との遭遇のチャンスが多く、新しいことをとことん知る機会がある会社もないでしょう。
強制的にそういう機会に恵まれますので、しんどいです。知識ゼロ、知らんがな、みたいなことだらけです。でもこれがやれるようになったら面白い仕事もできるようになる。やり尽くした仕事よりは知らない仕事の方が飽きないでできる。あとしんどいけどやっぱり知らないことを知るって、単純に楽しいです。結果、しんどいけど面白いことはもうできているのか?と気づく。仕事しながら自分もアップデートしていく。そういうモチベーションのサイクルです。
プノンペンに向かうスワンナプーム空港での待ち時間
面白い仕事はやったことないこと
前段の「周辺情報を根こそぎ自分の知識にする」というのは主に国内の受託の仕事に対する取り組み方ですが、一見わかりやすく面白そうと思える海外拠点の仕事こそ、まさにこれの応用編って感じです。当たり前だけど目の前ハードルの山だし、全然一足飛びに面白くなったりしない。
ギアエイトで何が一番刺激的かというとやっぱり海外拠点があって、スタッフも案件もミックスさせながら仕事していること(ちなみにそれぞれの拠点でそれぞれ国内のお客さんとお仕事してます、日本の案件をオフショア開発するみたいなことはやってません)。文化の違いで伝え方もデザインも変わるし、商売として成り立つサービスそのもの変わるし、これまで日本でやってきた「常識」を組み立て直して新しい発想をするいい訓練になります。また、考えるだけじゃなくて、拠点ごとにそれぞれ仕事をしているスタッフがいるので、直接現地へ行って見て聞いて感じる機会もあります。
そうやって異文化での小さい体験を積み重ねているうち、知らない間に自分の中の常識がちょっと変わっていってる感覚があります。これはネットで情報集めてるだけじゃなかなか体得できない。それ、会社のお金でやれるって、いいですよね。
私にとって面白い仕事とはこれまでやったことなくて、自分の人生経験が確かに一つ増えたなと感じられる仕事のことなのかなと思ってます。全部じゃないけどそういう仕事があり、できるチームになってる、そんな会社として続いたらいいなと思います。
何が言いたいかというと、これまでもうだいたいディレクションやってきて今もそこそこやれてるよ、みたいな人こそもっと面白い仕事ができる会社ってことです。
これからディレクターはどうなるのか
業務範囲の超広いディレクションを頑張って肯定的に書いてみましたが、仕事は楽にはならないんじゃないかなと思ってます。この先この仕事があるのかどうかもわかりませんし、飽き性だから違うことができるのはいいんですが、なんというか知らないことをやるのが楽しいかどうか、に尽きるかなと思います。これが嫌いな人にとっては辛い時代なんじゃないかな・・・と思います。
いずれ知見も蓄えられて、本当に世の中的に新しいことだけを吸収できるターンに差し掛かるんではないかという期待はあります。今は1回の掛け算しかできないけど、例えば2回3回できるようになったらまだ見ぬ世界が見えるのかもという。いろんなことご存知で面白いこと生み出せる、肩書きとかよくわかんないけどそういう方、いらっしゃいますよね。
Gear8で働くと面白いのか
札幌からバンコクのスタッフにビデオメッセージ
Gear8はウェブディレクションチームなので、この会社に関わることでディレクターとしてどういう仕事の面白みがあるのかという話に終始し、まあまあしんどいけど楽しむしかないね、という結論になってしまいました。職場環境としてはどうなのかというと、入社して以来この8年ずっと楽な方向になり続けてます。単純に歳を重ねて人生の過ごし方と自分のコントロールが上手になったこともありますが、仕事の受け方・労働時間もそうだし、台湾やタイの働き方にも影響を受けてるんじゃないかなと思います。日本人働きすぎですから。
私の性根がまじめすぎるだけで、楽観的にみれば、こんなゆるくてディレクションに特化して札幌とか台北とかバンコクとかまたいで仕事できるのは、ちょっとおもしろい会社なんじゃないでしょうか?東京みたいなキラキラの仕事はありません。キャパが小さいので1000万円超えるような大型案件もそんなありません。でも、雇用形態も働く場所も、自分の提案次第でいろんなやり方を許容してくれるし、仕事内容だってディレクションという定義のあいまいな職種なので、制作ディレクションから一歩出て拠点のマネジメントやってみたいとか、海外案件のディレクションやってみたいとか、私と一緒にディレクションをサポートしてくれる人も大歓迎です。
あとはボスとの相性
弾丸バンコク最終日、ミッケーラー・バンコクで1杯
なんだかんだで会社は資本家のものです。うちみたいなちっちゃい会社だと究極社長がやりたいことやる集団なんです。自分がやってみたいことはどんどん言える環境だけど、ボスがそれだけは絶対やりたくないって言ったらやれない。ボスとの相性がまず合わないと会社とは合わない。よって、Gear8の第一面接は水野とです。だからぜひ私なんかより水野の記事をまず読んでください。