「野菜の未来を変える」をテーマに、北海道長沼町の生産者とながぬま農協が手を取り開発した野菜のジン[vegin TOMATO – HOKKAIDO NAGANUMA -]のネーミング開発から各種デザインに携わりました。あえて糖度の高いブランドトマトではない普通のトマトを使った、新しい野菜のおいしさを引き出すプロジェクト。デザインでどのようにアプローチし、アウトプットするか、トマトそのものの観察や分解と再構築といったキーワードを軸に取り組みました。最終的には、ラベルデザインの他、ミニリーフレットや三つ折りパンフレット、ポスター、展示会用ツールのデザインなど広くかかわらせていただきました。この先もまだプロジェクトは継続しています。
JAながぬまのトマトのジンで「野菜の未来を変える」ためのデザインアプローチ
ながぬま農業組合 クラフトジン デザイン
長沼町の野菜の未来を変えるジンを作る
「ジンやツールのデザインが必要になってくるので一緒にやりませんか?」とお声がけいただいたのは、SHAKOTAN海森計画でもお世話になっている積丹スピリットさん。今回ジンの開発を担当されるプロジェクトに、GEAR8がデザインチームとして参加させていただくことになりました。北海道長沼町といえば、札幌近郊で近年注目を集める新規移住者の多いエリア「マオイ」のある町。そこで生産者と長沼農協さんが中心となって「未来を変える」という壮大なテーマをもとにしたジンをつくる、それだけで面白そうなお話でした。
まずはジンの試作と試飲をきっかけにし、長沼農協さん、積丹スピリットさん、GEAR8と関係者が一堂に会してキックオフミーティングを開催。長沼町で獲れる野菜やジンギスカンと合わせながら、トマトジンの新しい味わい方を模索しました。
さまざまなアイデアが出る中で生産者や農協の多くの方からも意見を募ろうとなり、試飲会は第二回目が開催されます。私たちデザインチームからはイメージボードをもってゆき、デザインから新しいジンの仕上がりをイメージしてもらえるようにしました。ボトルのデザインからも新しい切り口を模索していきます。
普通のトマトを、分解して再構築したデザイン
「野菜の未来を変える」をテーマに、実際にトマトを輪切りにしたり透かしたり物理的に分解もしながらいくつかデザインのアイデアを膨らませました。また関係者からネーミングアイデアも募り、有力候補のものをラベルデザインに取り入れながら、目でも耳でも今回のジンに合う表現は何かを探りました。夏にさしかかり、トマトの出荷を控えていよいよジンの製造もスタートします。
やさしく、華やかに彩られたトマトのお酒
最終的には、ストレートに野菜のジンを表すVegetable+GIN=vegin といネーミングに決定。デザインは、日の光をたっぷり浴びて育ったトマトがベジタブルカービングによって花のかたちに生まれ変わった姿をモチーフに採用したものとなりました。やさしくお酒に強くない方でも楽しんでいただける爽やかな味わいを表現しています。また、食卓にこのジンボトルがあるとき、食事の場を飾るテーブルフラワーのようであってほしい、そんな想いも込められています。
長沼農協さんのプロジェクトにかける想い、積丹スピリットさんのジンづくりのコンセプト、おすすめの味わい方などをまとめた下札とリーフレットも同時に制作。また、ラベルデザインからスタートしたデザインは、展示会でのTシャツやテーブルクロス、名刺といった各種ツールも一式揃えることで、「長沼農協を代表する、新しい野菜加工ブランド」として徐々に形になっていきました。
完成したジンは、野菜の爽やかな風味を残しながらくせがなく、どんな料理にも合わせやすいものになっています。この秋から販売開始される予定とのことで、vegin をきっかけにして長沼の野菜やお米、長沼町にも興味をもってもらえることを期待しています。