2024.04.17

リブランディングにおけるデザインの役割とリデザインの進め方

Fukumi Kitagawa

リブランディングは、企業やブランドが新たな方向性やビジョンを追求する上で重要な一歩です。このプロセスにおいて、デザインは極めて重要な役割を果たします。

デザインは、ブランドのアイデンティティやメッセージを視覚的に伝え、ユーザーの感情に訴えたり、印象を与える力を持っています。リブランディングを成功させるためには注意深い計画と実行が必要です。

デザインチームとの密なコミュニケーションや共同作業を通じて、ブランドの新たな姿を具現化し、ユーザーに伝わる印象的なデザインを実現しましょう。

リブランディングとは?

リブランディングは、企業やブランドが既存のイメージや戦略を再構築し、新たな方向性を示すために行われるプロセスです。

リブランディングにおけるデザインのアウトプットは多岐にわたります。まず、ブランドの新たなアイデンティティを反映するロゴやビジュアル要素のデザインが重要です。これには、新しいロゴやカラーパレット、フォント、アイコンなどが含まれます。また、ウェブサイトのリデザインも欠かせません。新しいデザインはブランドのイメージを表現し、ユーザーエクスペリエンスを向上させるために使いやすさや視覚的な魅力を追求します。

さらに、広告やプロモーション素材、パッケージデザインなど、ブランドを広く展開するためのデザインも必要です。リブランディングのデザインは、ブランドの新たな方向性やビジョンを反映し、一貫性を保ちながら魅力的な表現を追求することが重要です。

リブランディングの目的

リブランディングの目的は、ブランドの認知度や競争力を向上させ、ターゲット市場の新たなニーズや期待に応えることです。また、新たなアイデンティティやブランドストーリーを通じて、顧客との関係構築を促進し、信頼とロイヤリティを築くことも重要な目標となります。

リブランディングの目的達成のためには、ブランドの新たな方向性やビジョンを反映したデザインが必要です。具体的には、目標としている顧客層や市場のニーズに合わせたデザインを追求し、ブランドのメッセージやストーリーを視覚的に伝えるものです。

ロゴやビジュアル要素、カラーパレット、フォントなど多岐にわたるデザイン要素に一貫性を持たせることで、ブランドの再構築と成長を促進します。デザインはブランドの差別化と競争力の向上に不可欠です。

リブランディング必要なタイミングとは

リブランディングは、さまざまな要因によって必要とされるタイミングがあります。一般的には、以下のようなケースでリブランディングが検討されます。

  • ブランドのイメージやメッセージが古くなった場合
  • 市場環境の変化によって競争力が低下した場合
  • 企業の方向性やビジョンが変わった場合
  • 新たなターゲット市場に参入する場合
  • M&Aなどの統合が行われる場合

さらに、ウェブサイトが古くなりユーザーエクスペリエンスが低下した場合や、ユーザーの要求やニーズが変わった場合にもリブランディングが考慮されます。リブランディングは、ブランドやビジネスの成長と進化に合わせて行われる重要な戦略です。

リブランディングの進め方

リブランディングを進める際には、いくつかの重要なステップを踏むことが求められます。

まず、ブランドの現状を徹底的に分析し、目標やビジョンを明確化します。

次に、市場や競合の調査を行い、トレンドやベストプラクティスを把握します。これに基づいて、新たなブランドアイデンティティやデザイン要素を策定し、ロゴ、パンフレット、ウェブサイトなどのリデザインを進めます。

デザイン段階では、ブランドのコンセプトを視覚的に表現し、特にウェブサイトでは使いやすさやユーザーエクスペリエンスを考慮したデザインを実現します。

最後に、段階的なテストや評価を通じて、改善を行いながら最終的なリブランディングを完了させます。綿密な計画とデータに基づいたアプローチでリブランディングを進めることが成功の鍵となります。

ブランド戦略を見直す際の検討事項

ブランド戦略を見直す際には、いくつかの重要な検討項目があります。

  1. ターゲット市場や顧客のニーズを再評価し、ブランドが提供する価値を明確化します。
  2. 競合他社や市場のトレンドを分析し、競争力を維持・強化するための差別化ポイントを見つけます。
  3. ブランドのメッセージやストーリーをブランドアイデンティティと一致させるために、ブランドのビジョンとミッションを再確認します。
  4. ブランドの外観やロゴ、カラーパレット、フォントなどのビジュアル要素も見直し、ブランドのイメージを一貫性のあるものにすることが重要です。

これらの検討項目を通じて、ブランド戦略を見直し、より強力で効果的なブランドを築くことができます。

リブランディングを成功させるポイント

リブランディングの成功には、「リブランディングの進め方」でもふれたようにステップを踏むことが重要です。まず、明確な目標とビジョンを設定し、ブランドの方向性を確定させます。次に、市場や顧客のニーズを理解し、ブランドを再構築します。

デザインだけを変えるだけではなく、ブランドのアイデンティティを反映し、ユーザーエクスペリエンスを向上させる必要があります。段階的なアプローチを取り、テストと改善を繰り返すことも重要です。

さらに、従業員や顧客とのコミュニケーションを強化し、ブランドの変化を共有することも大切です。デザイン変更に留まらず、戦略的かつ綿密な計画・実行がリブランディングの成功につながります。

リブランディングで得られる効果

リブランディングによって、いくつかの効果が得られます。まず、ブランドの認知度と知名度が向上し、新たな顧客を引きつけることが期待できます。また、競合他社との差別化を図り、市場での競争力を高めることが可能です。ブランドの新しいビジョンやストーリーを通じて、顧客とのつながりを強化し、ロイヤルティを築くこともできます。さらに、ウェブサイトの改善によってユーザーエクスペリエンスが向上し、ユーザーの満足度やコンバージョン率の向上につながります。

リブランディングは、ブランドの成長と成功に向けた重要な戦略であり、効果的に実施することでビジネスのパフォーマンスを向上させることができます。

リブランディング依頼の費用相場

リブランディングの費用は、様々な要素によって異なりますが、一般的な費用相場はあります。小規模なリブランディングの場合、数万円から数十万円程度が一般的です。中規模なリブランディングの場合、数十万円から数百万円がかかることもあります。大規模なリブランディングや複数の要素を含む場合は、数百万円以上の費用がかかることもあります。

費用は、デザインの作業量、開発の複雑さ、コンテンツの作成などによって影響を受けます。また、ウェブ制作会社の経験や評判、提供するサービスの範囲なども価格に影響します。

リブランディングの費用を検討する際には、複数の会社から見積もりを取り、予算と希望する結果を考慮して適切な選択をすることが重要です。

Gear8でリブランディングを行った事例

事例:どんぐり

https://gggggggg.jp/works/donguri

ブランドのストーリー

コーポレートサイトのリニューアルに伴いお声がけいただきました。複数回のワークショップを行い、どんぐりの強みを明らかにしていきました。長年勤務するどんぐりのスタッフの方々も言語化できていなかった部分をクリアにする過程は刺激的でもあり、どんぐりに対する愛を感じながら穏やかな気持ちでアウトプットを作っていくという面白みがありました。

定期的な分析やコンテンツ追加を行う中で、ECサイトの構築を行ったり、コーポレートサイトで作成したパンの商品イラストを増やして店頭POPや名刺に展開したりとお付き合いが続いていました。そんな中で野尻社長から、今のどんぐりらしさと、これからどんぐりが向かう先を考え、社内全体に伝えていきたいというお話をいただきました。どのような形で具現化するかは決まっていませんでしたが、ミーティングを重ね、コンセプトをイラストに落とし込むことに決めました。作成したイラストは今後キッチンカーなどにも使われ、スタッフだけでなくお客様やお取引先と、より多くの方に目にされる機会が増える予定です。

ポイント

作りたいものが明確に定まっていない段階でお話をいただきましたが、要件指示書を待つのではなく、どんぐりのスタッフの皆さんと共に長い時間を過ごしながら形にしていく方法を選びました。我々も型にはまらずワークショップやグラフィックレコーディングなど新しい挑戦を繰り返したことを評価いただいたと思います。ちょっとした悩みの相談や質問をいただけることは何より嬉しく、クライアントと制作者という関係性を超えた信頼感を醸成できたことがより良いプロジェクトに繋がっています。

アウトプット

コーポレートサイト・ECサイト・商品イラスト・名刺デザイン・メディアサイト・コンセプトイラスト

事例:たかしま農園

https://gggggggg.jp/works/takashima

深川市で農薬や化学肥料を使わずに米づくりをしているたかしま農場様のWEBサイトを新規制作させていただきました。長年、こだわりを持ってお米を作っていらっしゃったのですが、今より多くの方に美味しいお米を味わっていただきたいという熱い想いをデザインに落とし込みました。

ブランドのストーリー

深川市で米づくりを展開しているたかしま農場さまの5代目から「米作りのこだわりや美味しさを知って欲しい」というご依頼をいただき、ブランディングをお手伝いしました。これまで存在しなかったウェブサイトを皮切りに、一般のお客様と個別契約している、有機栽培米や特別栽培米に使用するブランドロゴやパッケージデザインなど、お客様との接点が多いアイテムから優先的に制作していきました。

また、お米を年間契約いただいているお客様に向けて製作した一号升は、鮭箱のアップサイクルにチャレンジしている「ARAMAKI」さんとのコラボレーションにより特別感のあるノベルティに仕上がりました。

ポイント

ブランドロゴやCI、ウェブサイトなどにも共通していることですが、自然を相手に仕事をされている農家さんならではのデザインを心がけました。変動性が高く、加えて不確実性もある中で、毎年同じパフォーマンスを発揮することは相当の根気と努力のいることです。常に自然と対峙している姿に合うビジュアルは、整然としたものではないと考えました。均一ではなく、整理されておらず、優しい印象を感じてもらうデザインに仕上がっています。

「毎日食べるものだから、なるべく美味しく。」をテーマに強くて謙虚なたかしま農場さんをデザインとして表現することに成功しました。

アウトプット

ウェブサイト・ECサイト・CI・ブランドロゴ・パッケージデザイン・ノベルティ(一号升)

事例:Cafe de Roman

https://gggggggg.jp/works/cafe-de-roman

札幌の藻岩山に位置する人気のカフェ「Cafe de Roman」様のブランディングサイトを制作させていただきました。SNS経由での認知やご来店に繋がることが多い状況であったため、WEBサイトでは「どんなコンセプトで運営をしているのか」「どんな雰囲気を感じてもらいたいか」などSNSでは伝わりきらない情報をメインにビジュアルやコピーを作成し、想いを伝えることを強く意識したWEBサイトにいたしました。

ブランドのストーリー

忙しい時間や騒がしい都心から抜け出し、お気に入りの席で一息つく心地よい時間を感じてもらいたい。何気ない一日にじんわりと馴染んでいくような、口に運ぶたびにふわりと心が解けていくような一口をご提供したい。これらの想いを「いつもの一日に、やさしい一口を。」というコピーで体現しました。

ポイント

WEBサイトの背景のグラデーション部分はスクロール量によって色が変化する仕組みを導入し、時間の経過(朝→昼→夕→夜)を表現しております。どんな日でも、どんな時間でも、スッと馴染み落ち着けるような空間を提供したいという想いから導入した背景があります。

アウトプット

コンセプトコピー・ブランドサイト

目的にあわせた綿密なブランディング戦略を

デザインはブランドとユーザーのつながりを強化し、ロイヤルティを築くための重要な要素であり、リブランディングにおけるデザインは、ブランドの新たな成長と成功に欠かせないものです。そのためには、目的や他社との差別化のポイントなどを明らかにするステップが重要であり、リブランディングの成功の鍵となります。

自社のサイトやサービスについてリブランディングを考えている方は、今回の弊社の事例を参考にしていただきながら、お気軽にご相談ください。

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Fukumi Kitagawa

1982年2月大阪生まれ。京都府立大学入学を機に京都に7年住み、2007年縁があって札幌に来ました。

両親ともにデザイナーで母は染色作家という家庭環境の影響と、学生時代の趣味の延長でウェブデザイナーとして社会人スタート。ウェブデザイナーとして3年、水野との出会いとなった前職でウェブディレクター兼デザイナーとして4年を過ごし、「北海道を旅立つ前の最後の仕事」という気持ちでGear8に入社(結局16年を札幌で過ごし完全移住)。Gear8ではディレクション、新拠点・オウンドメディアの立ち上げ、広報・採用でのブランディング面などほぼ全般に関わっています。

プライベートでは生田流箏曲の師匠試験に合格。週末はほとんど三味線と箏の練習ざんまい。音楽文化を通じた日本美の追求がライフワークです。