2024.04.01

ホームページでのWebブランディングの方法やタイミング、成功事例の紹介

Fukumi Kitagawa

企業、サービス、商品、人など、今やあらゆるものがインターネット上で認知される昨今、ホームページやSNSといったウェブ上でのブランディングは、実世界と同様、あるいはそれ以上に重要になっています。今回はウェブサイト制作を中心に手掛けるチームのディレクターとして、ウェブでのブランディングはどのように行っていくべきなのか、どうすれば成功するのかについて考えてみました。

ブランディングの目的とは?

まずそもそも、何のためにブランディングを行うのか?たとえば製品やサービスであれば、ブランドを確立させることで機能以上の付加価値があるとみなされ、同様の機能を備えた競合製品・サービスよりも選ばれやすく、より高価格の価値を認めてもらいやすくなります。また、会社や人材についても、たとえば、募集しているポジションに採用してもらいやすくなる、応募してもらいやすくなるといったメリットがあります。

スペックだけでは判断できない価値を伝え、じわじわと人伝てに広めていくことで、数ある会社や製品の中から選んでもらう存在になる。つまり、ブランド価値をあげることで世の中に長く存続することができるようになります。

Webブランディングの役割

ではリアルの場と違ったWebブランディングの特徴や役割とは何でしょうか?インターネットにつながっていれば、時間と場所を選ばずに情報に触れられるという利点があります。そのものにどんな価値があるのかを、受け手にとって都合の良いタイミングで知ることができます。Webでしか果たせない役割として以下3つの特徴があげられます。

ダイレクトに価値を伝える

これまでのマス広告では、限られたタイミングや対象者に同じ表現でしか価値を伝えることが出来ませんでした。Web広告やホームページでは、表示されたタイミングあるいは個人の属性や好みに合わせて伝え方を変えることができるため、受け手に最も伝わりやすいと考えられる表現で、個人にダイレクトに訴求する事ができます。

さらに、個人発信でSNSで繋がった個人へもダイレクトに広く知ってもらう事ができるため、伝わったその先にどのように広めてほしいのか、といった施策も併せて必要とされています。

正しく価値を伝える

では周囲の人の口コミ、実世界とインターネット上の様々な媒体で目にした情報は、果たして正しい情報なのかどうか?それを確かめる方法として、公式ホームページや公式SNSがあります。直接発信して、人やモノの価値を正しく認識してもらうこと。これもWebブランディングにおける大切な役割のひとつです。

新たに認知してもらう

さらに、実世界ではまったく触れる機会がなかったような遠く離れた人にも、新たに知ってもらうきっかけとなります。新しいサービスや製品が出来たとき、Webでしか知りようがないという場合もあるでしょう。特にデジタルトランスフォーメーションが進みインターネットに触れる時間が増している時代において、製品・サービスだけではなく、たとえば会社であっても事業承継や新事業立ち上げのタイミングで、新たな価値を創り認識してもらえるきっかけとなります。

Webブランディングのメリットと特長

先に示した3つの役割の中で、Webブランディングでしか得られないメリットがあります。

1、幅広い層のユーザーに対して発信できる

ダイレクトに価値を伝えることができるのは、一部の人に対してだけではありません。さまざまな人に対して、たとえば日本語を母語としない人にも情報提供することができます。日中にノートパソコンを開いている人にも、夜間にベッドでスマホを使っている人にも、幅広く価値を伝える方法があります。

2、ブランドの詳細な情報を訴求することができる

ホームページでは、媒体の時間制限や紙の面積などにしばられることなく、必要なだけ情報を詳細に掲載することができます。 長年変わらない想いを文章や写真や映像を交えた凝った手法で伝えることも、いますぐ伝えたい旬のリアルタイム情報も、どちらも発信することが可能です。

3、アクションしたユーザーの情報が取得できる

ホームページに掲載されたどんな情報に、どんな人が、いつたどり着いて、どのくらいの興味を持って接してくれたのか。興味をもってホームページを訪れた人、購入や問合せといったアクションを起こしてくれた人のインターネットの行動履歴やWebの会員制度といった仕組みを使って、こちらからも情報を受け取った相手を知ることができます。

Webブランディングのタイミング

ホームページでのWebブランディングのタイミング

ブランディングに取り組むタイミングについて考えます。ブランディングとは、伝えたい対象者に広く共通した価値を認識してもらえる状態を目指すため、実施してすぐに結果につながる短期的な施策ではなく、長期的な視点で取り組む必要があります。

商品・サービスのリニューアル

例えば、これまでと大きく変化させて新しく作った価値を認識してもらいたい場合、Webブランディングを考えておく必要があります。リニューアルした商品・サービスのリリースのタイミングや、新たな方針転換期にある企業の人材採用のタイミングなどです。

長く続く企業やサービスの節目

対外的なアピールだけではなく、従業員や内部スタッフに向けた取り組み、いわゆるインナーブランディングを行いたい場合にも効果的です。長く続く企業では全員でもつ当たり前の共通認識が薄れており、特に若手を中心に自分たちの価値を再認識する必要がある場合もあります。内外から注目が集まる周年記念などの節目にあわせてWebブランディングを行っても良いでしょう。

新商品・新事業・新会社の立ち上げ

また、世の中に認知されていない企業・サービス・事業・製品であれば、まずどのように認知されたいのかを検討することになりますので、全体のコンセプトや販売戦略を検討するタイミングからWebでのブランディングをどう行っていくか、同時に考える必要があるでしょう。

長く様々なタイミングで対象者に伝えることが可能なWebの特性を活かして、いち早く取り組む事をおすすめします。まずはWebブランディングを核とし、そのほかの場所やツールに合わせてアレンジして展開していく流れが自然です。

具体的なWebブランディング手法

では具体的にWebブランディングを進めていきたいと考えたとき、何から始めれば良いでしょうか。

・自社の経営戦略、ブランド戦略を整理する

ブランドを意識してもらいたい対象者や、発信するメッセージなど、自社がステークホルダーに共通イメージを持ってもらうためのコンセプトや戦略立てを行います。 つまり、「誰に対して、どのような価値を感じてもらい、どのような認知をしてもらうか」を設計します。

これから先も大きく変わることのない自社の経営方針を策定し、そのうえで他社サービスや他社製品にはないどのような価値があるのか、世に提供できる価値は何なのかを見つけ、どのような伝え方がふさわしいか、ひとつずつ整理していきます。

・対象者と打ち出したいブランド価値を設定する

誰にでもいつでも発信できるのがウェブの強みとはいえ、ふさわしい相手とタイミングを見計らう必要があります。

まず、特に伝えたい対象となるのはどんな人なのかを考えます。自社の事業内容や製品によっては、年齢や性別といったわかりやすい属性ではなく、どのようなライフスタイルや価値観を持っているのかなどにまで踏み込む必要がある場合もあります。それによって自ずと、ブランドを伝えるのに適したタイミングや場面や表現が見つかるでしょう。

また、その人にとって自社の事業あるいは製品の、何が価値と感じてもらえるのか、何を一番の価値として伝えたいのかを整理していきます。対象とした人が共感できる、あるいは感動できるポイントは何になるのか?を設定します。

・必要なコンテンツや強く訴求したいコンテンツを整理する

伝えたい価値が決まったら、その価値を具体的に説明するにはどういった情報を知ってもらう必要があるのかを考えます。細分化したり、多面的な見方をしながら、伝えたい対象者に共感してもらえるようなポイントを洗い出します。

品質の良さなのか、関わったメンバーと長くかけた時間や背景にある物語なのか、新しい機能なのか、他にはない特長となる事柄をコンテンツに落とし込んでいきます。コンテンツは、どのような内容をどのようなボリュームで伝える必要があるか、ウェブサイトにどんなページがあれば適切かを決定し、サイトマップの作成に進みます。

サイトマップとは、ウェブサイト内にあるページを一覧できる資料です。また、見てほしい優先度や重要度に応じて、どのようにページを分類していくのかを決定します。

・ビジュアルやデザインに落とし込む

伝えたい価値の内容がわかりやすく、相手にとって受け取りやすい表現とは何か?を検討します。具体的には企業のロゴデザインや、キービジュアル、色使い、配置のルール、使用するフォント、全体のトーンといった、ウェブサイトをデザインしていくうえでの基本コンセプトを決定します。

全体のトーンとは、研ぎ澄まされた文章で伝えるのか、しっかりとした説明と動きを映像にひとまとめにするのか、瞬時に楽しい気分になるような演出をするのかなどの表現の雰囲気をさします。ここから派生させる形で、そのような雰囲気をつくるための色・フォント・配置・ビジュアルなどを検討していく流れです。初めに決定したブランド価値の、本質的な価値が伝わる表現方法を模索します。

ビジュアル表現にも、イラストを使用するのか、写真を使用するのか、動画を使用するのか、タイポグラフィで表現するのか、さまざまな方法があります。また、モーショングラフィックや、スクロール・マウスアクションなどのユーザーの動きにあわせてアニメーションをさせるといった双方向性のあるムードの表現方法は、ウェブサイトならではの手法です。

・ホームページ以外の施策を検討する

ブランド価値を十分に伝えるためのホームページを作っただけでは、インターネット上で見つけてもらうことが出来ません。ホームページを見つけてもらうための導線設計も重要です。検索ワードで見つけてもらうためには、どのような検索キーワードで検索結果に表示されればいいのか。あるいは、SNS上の投稿や広告を通じて見つけてもらうのか、インターネット以外の広告を実施するのかなど、伝えたい対象者のライフスタイルの中にあって、接点が持てる場所はどこにあるのかから、最適な方法を検討します。

・日々の運用・メンテナンスで顧客との関係性を強化する

ブランドの価値を伝える情報が詰め込まれたホームページも、変化が必要となる場合もあります。何年も前の情報しか掲載されていないホームページには、情報の鮮度がなく正しい情報かどうか疑われてしまったり、あるいは時間がたてばブランド価値も少しずつ変化していくこともあるでしょう。必要に応じてメンテナンスをしていくことが、ブランドを育てていくことにつながります。

Webブランディングにかかる時間とコスト

ホームページでのWebブランディングにかかる時間やコスト

認知されたい対象や、そのものの理解のしやすさ、などによりますが、後に上げる具体的な手法の初めから、Webサイトを立ち上げるまでには少なくとも半年から1年間は見込んでおく必要があります。企業価値のリブランディングなどさらに大規模なものになれば、ホームページやその他ツールの制作に入るまでだけで数年を要する場合もあります。

コストについても同様に千差万別ですが、戦略立案やブランド価値の策定など、どの段階から専門の会社に依頼するのかにも変わってきます。また、専門会社の得意分野によっても依頼できる内容と金額に差があります。市場調査・ファシリテートが得意なコンサルティング会社、言語化・視覚的に表現することが得意な制作会社、などです。すべてをまとめて依頼した場合には数百万円~数千万円となります。

決して安価にできる事ではありませんが、これからの長期的な効果を期待して取り組む施策であることを念頭に、自社や商品の規模と価格感に照らし合わせ、どこまでを依頼すべきかも相談することをおすすめします。

ただし、いずれの場合も「自分たちがどう方向づけしたいのか」という芯がないとブランディングの成功は難しいため、専門会社はあくまで成功に導くためのサポートをする役割で、主役は自分たちにあるという認識はしておいた方が良いでしょう。

Webブランディングの参考になるホームページ事例

Gear8は、ウェブサイトを成功に導くウェブディレクションチームです。Webブランディングの初めのコンセプト策定からお手伝いすることもあれば、コンテンツへの落とし込みという形にする段階からお手伝いすること、ビジュアライズのアイデアだけお手伝いすることなど様々な形で関わらせていただいています。

また、業種や対象者も一定の限定された分野の専門ではないため、広くご相談いただくことが多いです。ここでは例として、BtoC企業さまと、BtoB企業さまでWebブランディングをお手伝いした例を参考としてご紹介いたします。

森のピタゴラス[商品・サービスのWebブランディング]

Webブランディング成功事例:森のピタゴラス[商品・サービスのWebブランディング

https://gggggggg.jp/works/morinopitagoras

すでに商品としてモノは出来上がっていたものの、どのように世の中に広めていけばよいかわからないという段階でご相談を頂きました。単純に「知育玩具」としてのスペックだけでは伝わらない、「北海道の森にふれるおもちゃ」という背景やストーリーを紐とくことで、他にはない価値を伝えられるようお手伝いした例です。

liaStyle[事業・サービスのWebブランディング]

Webブランディング成功事例:liaStyle[事業・サービスのWebブランディング]

https://gggggggg.jp/works/lia-style

スペックだけではなく家づくりに対する考え方やブランドのスタイルをしっかりお伝えし、コンセプトを理解していただくことを目的としたリニューアルのご相談でした。コンセプチュアルなウェブサイトはデザインに寄りすぎて指標を定めづらい傾向がありますが、確度の高いお客様からのお問合わせにつながる集客施策も行い、効果が出ている例です。

福津組[地方企業のWebブランディング]

Webブランディング成功事例:福津組[地方企業のWebブランディング]

https://gggggggg.jp/works/fukutsu

ウェブサイトの主な目的は、第二創業期として会社の今を正しく伝えること。それに伴いこれからを担う若い世代の人材採用を積極的に実施することでした。「地方+建設」という難易度の高い条件で採用活動を行う福津組様をサポートする役割として、お声がけいただきました。

bitstar[IT企業のWebブランディング]

Webブランディング成功事例:bitstar[IT企業のWebブランディング]

https://gggggggg.jp/works/bitstar

リモートワークが主体となって全員が実際のオフィスに集まることも少なくなり、ウェブサイトで会社のアイデンティティを表現しインナーブランディングを進めたいというご依頼でした。再定義された理念やロゴを、Webを通じて内外に伝えるお手伝いをした例です。

まとめ

ホームページでのWebブランディングの方法やタイミング、成功事例の紹介まとめ

また私たちは札幌・台北・バンコク・チェンマイを拠点に、各拠点数名~20人以下の小規模な会社です。短期間で集中的に開発を行ったり、大規模なウェブサイトを作ることは苦手ですが、人やモノの良さをじっくり伝えるためのWebブランディングは私たちの得意とするところです。

自分たちの価値はどこにあるのか、改めてじっくり考えたい。それをどう伝えていけばいいかアドバイスが欲しい。そんな時には是非一度、ご相談頂ければと思います。

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Fukumi Kitagawa

1982年2月大阪生まれ。京都府立大学入学を機に京都に7年住み、2007年縁があって札幌に来ました。

両親ともにデザイナーで母は染色作家という家庭環境の影響と、学生時代の趣味の延長でウェブデザイナーとして社会人スタート。ウェブデザイナーとして3年、水野との出会いとなった前職でウェブディレクター兼デザイナーとして4年を過ごし、「北海道を旅立つ前の最後の仕事」という気持ちでGear8に入社(結局16年を札幌で過ごし完全移住)。Gear8ではディレクション、新拠点・オウンドメディアの立ち上げ、広報・採用でのブランディング面などほぼ全般に関わっています。

プライベートでは生田流箏曲の師匠試験に合格。週末はほとんど三味線と箏の練習ざんまい。音楽文化を通じた日本美の追求がライフワークです。