2019.03.14

台湾文化#2 旧正月のお菓子

Gear8

こんにちは、デザイナーの韓です。
3月の札幌は徐々に雪が解け、一足早い春を迎えようとしています。

去年のこの頃は、 Chinese New Year 2018 in Taiwan で旧正月の日常と流れをお話しして来ましたね。今年はその話をさらに深掘って、「旧正月の年越しお菓子」についてご紹介したいです。恐らく普通の台湾旅行ではなかなか出会えない ”行事のお菓子” がほとんどなので 、一体どんなものがあるのか、興味のある方はぜひ見てみてください!

今回は写真がそろっていないため、イラストにて説明をします↓

 

旧正月のお菓子箱「全盒(ちゅえんほー)」

※全盒

※実家にある毎年使っている「全盒」。木箱で漆仕上がりとなっています。良いものを買うとデザインも美しく、長持ちします。

「全盒(ちゅえんほー)」、今でもよく台湾や中華圏で目にする伝統的なお菓子箱。中は格子状となっていて、春節になると伝統的な風習として用意します。

中に入れるお菓子は昔から言い伝えられてきた縁起の良いものや、 ”8甜” (8種類の甘いお菓子)など。年末になると、こういった縁起菓子は市場とスーパーなどで販売されるようになります。

全盒の歴史を遡ってみると、明朝晩年に作られ、康熙時代(1611-1722)で一番普及し各地へと広めていたとされています。韓国やベトナム、日本で使われている箱物の原型とも言われています。

昔から様々なデザインや素材の物があり、共通なのは箱の真ん中に丸い(あるいは四角)形の部分があることです。この箱は「十全十美」という意味が込められているので、春節以外に結婚式や、お祝い事などでも目にすることはあると思います。

 

全盒の中身「ナッツ類のお菓子」

※うちではこの3種類を置くようにしています。

※うちではこの3種類を置くようにしています。

全盒の中でナッツ類ですと必ず「瓜子(くあず)」類を1種類を入れるようにしているのは、「瓜子(くあず)」はそれぞれの殻の中に実があって、代々子孫繁栄、子に恵まれるという意味が込められているから。絵描かれている「黑瓜子(へいくあず)」という種類は黒い見た目ですが、とてもおいしいので置くようにしています。

「開心果(かいしんぐお)」と呼ばれているナッツはピスタチオ。中国語の呼び名の ”開心(かいしん)” には喜びという意味合いがあるので、食べると喜びに満ちるという。

続いてピンクとシロの色合いをしているお菓子「生仁糖(すおんろんたん)」、絵では一見金平糖に間違えられそうですが、実物見ると金平糖より一回り大きいです!生仁糖の正体はピーナッツ、外側は粉砂糖に包まれたお菓子です。昔からピーナッツには ”長寿” の意味が込められているので、食べると長生きできるよう…という願いが込められているでしょう。

 

全盒の中身「砂糖漬けのお菓子」

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※砂糖漬けの菓子、うちではこの3種類。

全盒に甘いものを入れるのは新しい一年に苦い思いはできるだけ少なく、甘い思いだけを残せるように!という願いが込められています。なので昔から全盒には ”8甜” (8種類の甘いお菓子)を入れる風習があり、それが以下の8種類になります。

・糖蓮藕:砂糖をまぶした干し蓮根 ←うちではこれ
・糖蓮子:砂糖漬けした蓮の実、甘納豆のよう ←たまにこれ(蓮の実の値が高騰のため近年はなかなか…)
・冬瓜糖:冬瓜の砂糖漬け ←うちではこれ
・金橘糖:金柑の砂糖漬け ←うちではこれ
・糖椰絲:砂糖漬けしたココナッツの実(細長い形)
・糖椰角:砂糖漬けしたココナッツの実(四角形など)
・糖乾筍:ニンジンの砂糖漬け
・糖馬蹄:シログワイの砂糖漬け、食感は蓮根と似ている

昔と違って今の一般家庭では8種類を全部入れるというより、この中から好きなものだけ置くようになっています。全部砂糖で甘すぎやしませんかと思うかもしれませんが、これはちょっとずつ、親戚や知人と台湾茶を飲みながらゆっくり頂くのが一般的です。

 

全盒の中身「お好み」

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※家のお好み。

たまに全盒の中で新しいキャンディーや、海外のお菓子なども目にするようになりました。健康なども気にして、好きなようにお菓子を入れる現代では、特にこどもに喜ばれそうなものを置く傾向があります。ちなみに下のコインは日本でも見かけるコインチョコです。新しい年でも金運に恵まれますようにという願いが込められています。

 

年越しの甘いもの

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※春節定番の2種類。

新年「拜拜(ばいばい)」の時にお供えする定番の「年糕(ねんがう)」と「發糕(ふぁがう)」、お正月で食べる縁起の良い物です。

「年糕(ねんがう)」の年(ねん)には ”とし” 、糕(がう)には ”高いところ” の意味合いがあり、”高いところへ行く” 、”昇進する” という思いが込められているお菓子です。元旦の朝に朝食として食べます。

年糕はもちもちとした食感に粘りが加わっているので、小さく四角に切り分けた後、といた卵で外側を包みフライパンで調理します。

「發糕(ふぁがう)」の ”發(ふぁ)” には増えるという意味合いがあります。お金が増えて潤うという一年という思いが込められているお菓子。お正月だけではなく、一年中のお供え行事で見かけられるものです。味は黒糖の蒸しパンと似ています。

 

年越しをしめる甘いもの

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※2種類の湯圓。

旧正月は「元宵節(ゆえんしゃうじぇー)」を迎えて終了するという重要な一日です。この日にランタンを天にあげたり、燈節や夜通し提灯が行われます。

そんな中、一番大事なのは家族団らんとして「湯圓(たんゆえん)」を食べること。「湯圓(たんゆえん)」は温かい白玉団子のようなスイーツ、家庭が団圓(団欒円満の意味)が込められています。

ピンクとシロの小さい湯圓は台湾昔ながらの種類。黒砂糖と水を加えてゆでて食べたり、あずきを加えたりします。この小さい湯圓に餡は入っていませんが、もちもちしていて台湾の昔ながらの味わいです。

右側の大きい湯圓は今の主流です。胡麻餡は王道で、一番人気があります。ちなみに、胡麻の他にも様々な味があります、例えば今年一番流行った味はなんと「ミルクティー餡」!どんな味がするのでしょうね…。

湯圓を食べてみたい方は(民宿やホテルとかで調理場があったら)ぜひ台湾のスーパーなどで探してみてくださいね!

 

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以上、台湾旧正月の縁起菓子をご紹介してきました。この中で食べたことのあるものはありましたか?
次回は台湾の「拜拜(ばいばい)」にお供えする菓子も少し話できたらと思います。では、また次回でお会いしましょう!

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Gear8卒業生による記事です。