2024.06.12

地業工事から学ぶ、目に触れないからこその重要性を理解したリフレクション

Ai Ishizuka

川本鉄工所さまのウェブサイトリニューアルについて社内対談インタビューをお届けします。

対談するメンバーは、川本鉄工所さまを担当しているウェブディレクターの石塚亜衣さんと、フロントエンジニアの石塚竣也さん。制作の裏側や想いなどを、ふたりだから話せる制作秘話を語ってもらいました。

知識を深めたからこそ生まれた、アイディア満載のウェブサイト。

-本日はどうぞよろしくお願いします!

亜衣&竣也:どうぞよろしくお願いします!

-ふたりとも苗字が「石塚」なので、下の名前で呼ばせてもらいますね。普段から一緒の制作チームになることは多いですか?

※GEAR8では、ディレクター、デザイナー、エンジニアのチーム体制で案件を進めることが多いです。

Webディレクターの石塚亜衣さん

亜衣:最近、竣也さんと一緒にチームを組むことが増えてきた気がしますね。実は、今回お話する2023年の川本鉄工所さまのサイトリニューアルで、初めて竣也さんとチームを組んで一緒にお仕事したんです。

フロントエンジニアの石塚竣也さん

竣也:僕も意外でした。2017年に僕が入社して、亜衣さんが2021年入社だから…結構長く一緒にいるはずなんですが、なかなかタイミングが合わなかったみたいですね。

-石塚ペアの記念すべき初チーム制作なんですね。それでは、まずクライアントについて教えてもらえますか?

亜衣:川本鉄工所さまは、北海道赤平市で1942年に創業した老舗鉄工所です。炭鉱が開山していた時は、炭鉱内施設の建設や保守、機械器具の製作などがメイン事業でしたが、閉山後は鋼製構造物の設計や製作を行うようになったそうです。1980年代ごろから建設業にも進出し、青函トンネルなどのプロジェクトにも関わるようになり、現在は地質調査や地盤改良、杭打ち工事などの技術力が国内で高い評価を受けています。

-リニューアル依頼の経緯はご存知ですか?

亜衣:GEAR8に直接相談があり、「ウェブサイトに掲載されている情報が古く、新しい情報を載せたい」と要望がありました。私もお話を頂いてからリニューアル前のサイトを拝見し、事業内容のアップデートや採用情報の拡充など、サイトを見て川本鉄工所さまの「今」を知ってもらえるようなサイトにしたいと直感的に感じましたね。

-亜衣さんは、制作に入る前に土木や建築について、すごく勉強されていたと伺いましたが…。

亜衣:専門的な内容が多く知識を深めたかったので、YouTubeで杭工事現場の動画や、建築士の資格勉強のための動画をひたすら見続けました。自分の知識にしたかったのもありますが、単語が理解できることでスムーズにミーティングを進めたり、サイトデザインに活用できないかなと思っていましたね。

あとは、ただ「かっこよくておしゃれ」みたいなサイトにはしたくなかったのが大きいかもしれません。川本鉄工所がこれまで行ってきた事業に対するリスペクトや、これからへの可能性などをちゃんとサイトに落とし込みたかったんです。

竣也:今回のサイトは、デザインやアニメーションにも全部意味がありますもんね。構築を始める前に、亜衣さんが制作前のミーティングをしてくれて、クライアントの事業説明や特色などを細かく説明してくれたんです。「サイトの背景に建築記号を入れたいんですけど、これには意味があって…」と、学んだ知識をサイトに反映しているのも印象的でした。

アニメーションの指示書も亜衣さんが作ってくれて、アニメーションをつける「理由」を書いてくれていたんですよ。

亜衣:例えば、トップのアニメーションだと「なぜ上から降ってくる動きにしたいのか」の理由がわからないと、指示通りに構築するだけになってしまうと思ったんです。アニメーションの根拠を竣也さんが理解していたら、構築の際に意識してくれるだろうし「こういう動きもありますよ」とか、提案にもつながるかなと思っていました。

-クライアントからも、こうしてほしいと希望があったのですか?

亜衣:いえ、「お任せします」と、全面的に任せて頂きました。正直に言うと、ここまで細かくこだわらなくても、きっと「いいサイトですね」とおっしゃっていただけたと思うんです。でも、できることを全部やりたくて。信頼していただいているのを感じていたので、それに応えたかったのもありますね。

竣也:確かに。今回はかなり細かくこだわりましたよね。そして、それを受け入れてくれるクライアントだったというのも大きかったです。僕も制作前のミーティングを経験したことで、川本鉄工所さまが行っている事業や実績を知り、細かくこだわりたい理由ができました。

-それは具体的にどんなことですか?

竣也:「地業(じぎょう)工事」という言葉があって、これは基礎の下の地盤に施される工事の総称を指します。川本鉄工所さんの事業はこの「地業工事」が主となっているので、一般の人の目には触れないですが、手を抜けば大事故に繋がる非常に重要な工事なんですよね。

その目に見えないところにこだわりやプライドを持っている姿勢を、自分のコーディングでも表現し、少しでも伝わったらいいなと思いながら制作していました。あとは個人的にも「自由にアニメーションをつけてほしい」と依頼されるより、亜衣さんが進めてくれたように根拠に基づいてくれた方がやりやすいということにも、改めて気付かされましたね。

-竣也さんにとっては、ターニングポイントになったウェブサイトなんですね。

竣也:そうですね。川本鉄工所さまのリニューアル後は、このフローが主流になってきたので、良い流れだなと思っています。

-リニューアルに関するクライアントの反応はいかがでしたか?

亜衣:感動してくれていました。「どこの会社で作ったの?」と周りから聞かれるほど反応も良いみたいです。あと社内でも「ウェブサイトがかっこよくなったとことで、士気が上がった」という声もあったみたいで、「自分たちが川本鉄工所で働けていることの誇り」のようなインナーブランディングに繋がったと、川本鉄工所さまから聞いています。

異なるツールで表現できるからこそ、より伝えるために努力を。

-サイト制作以外にも、クライアントから依頼があったと聞いていますが。

亜衣:サイトリリース後に、会社案内や封筒の販促物制作のご依頼をいただきました。その時に、現行の販促物を一式拝見したんです。そこで各販促物に印字されたロゴが統一されていないことを知り、帰社後に水野さんと「川本鉄工所さまのブランドイメージを一本化することが、サステナブルな経営を行なっていく上で重要なのではないか」と、ミーティングをしました。結果、販促物を一新すると共にロゴも新しくしましょうと、ご提案することに。

こちらが実際の各販促物に印字されていた過去のロゴ。

-クライアントの反応はいかがでしたか?

亜衣:ウェブサイトでの表現方法を活かした構成やデザインなので、イメージ通りという評価をいただきました。特に事業を説明しやすいように、両社でアイディアを出し合い工夫を重ねていったことが、制作時の印象で残っています。

角2封筒・長3封筒・名刺・見積書鏡のデザインから印刷まで対応。封筒は紙質にもこだわり、中面はグレーに。「見えないところ」にもこだわるコンセプトにも共通しています。

竣也:亜衣さん、会社案内パンフレットの構成や編集も担当していましたよね。

亜衣:構成を考える上で、サイト制作時の知識だけでは足りなく、川本鉄工所さまにお願いしてたくさんの資料を用意してもらいました。建築に関して素人の私からの質問はきっと的外れなものもあったと思いますが、根気よく様々なことを教えていただき…感謝しかないです。その気持ちに報いるべく、粛々と情報の整理や整合性確認を行い、川本鉄工所さまの事業がしっかりと伝わるパンフレットを作ることができました。

実際に川本鉄工所さまからご提供いただいた資料たち。

竣也:すごいなと思ってみていました。今回の事例で面白いなと思ったのが、サイトよりもパンフレットの方が情報量が多いことです。通常であれば、情報量は同等かサイトの方が多いこともあるくらいなのに、これには理由があったんですか?

亜衣:ウェブサイトは、会社の事業や取り組みを発信するためのブランディングが目的だったので、会社案内とはまた別の情報発信ツールなんですよね。会社案内は、営業ツールとして営業担当の方が専門的な部分も説明するために使用すると聞いていたので、情報量が多くなったという背景があります。

竣也:なるほど。ここにもやはり理由があったんですね。

亜衣:サイトは「大地に、問う。」というキャッチコピーにもある通り、事業に対する真摯な姿勢を全面に出しています。営業担当の方からパンフレットを受け取った人が、次に知りたいことは「この会社ってどんな会社なの?信頼できるのだろうか」という部分だと思うので、そこをカバーする役目も今回のウェブサイトには意味を持たせていますね。

-では、最後に一緒にチームを組んでみての感想をお願いします。

亜衣:竣也さんは、親身になって考えてくれて、同じ温度感で制作を進められたのが楽しかったです。方向性を事前にすり合わせることで、こんなにも制作って進めやすいんだと感じました。

竣也:制作意図を理解してコーディングすると、エンジニアという立場からもアイディアがうまれるようになり、さらに良いサイトに成長させることができることを実証したチームだったと思います。このチームビルディングの流れを作ってくれた、亜衣さんには感謝です!

-ありがとうございました! 


今回の対談インタビューでは、川本鉄工所さまが手掛けている地盤改良や杭打ち事業など縁の下を担当する仕事へのプライドに共感し、ふたりとも「目に見えない部分」にこれまで以上にこだわって仕事しているのが印象的でした。「デザイン」は表現されている部分に目が行きがちですが、その背景や裏側を丁寧に作り込んでいるからこそ、本質的なデザインに繋がるのではないかと思います。

これからもGEAR8が魅せてくれる「本質を探究する」旅を追いかけるのが楽しみです!

川本鉄工所さまのウェブサイトリニューアル詳細はこちら>

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Ai Ishizuka

1995年札幌市生まれ。2018年に北海学園大学人文学部を卒業後、制作を学びたいと思いデザイン業界へ。グラフィックデザイナー、イラストレーターとしてデザイン会社等に数社勤務後、デザイン×ディレクション業務に興味を持ち、"ディレクションチーム"を謳うGear8に2021年入社。 主にWebサイトのディレクション・運用サポートと、デザイン業務を行う。イラストやデザインの経験からデザイン視点多めのディレクションが得意です。 人生のテーマは、自由でハッピーなこと!アートと文学、運動や旅行に関心が高めです。 休みの日には走ったり、絵を描いたりもしています。本は高校時代から好きで、ダニエル・デフォーから始まりました。