2025.05.14

初めて海外に行ったデザイナーの旅ログ #04〜 カンボジアのデザインとアート編

Airi Watanabe

アートでめぐる、祈りとユーモアのカンボジア

こんにちは、デザイナーの渡邉愛梨です。(社内ではアイリと呼ばれています!)

今回の旅ログでは、カンボジアで訪れた美術館や博物館について綴ってみたいと思います。
これまでとは少しトーンが異なるかもしれませんが、
実際にその場に立ち、感じたことや、デザインの視点で見つけたことを 自分なりの言葉で残しておきたいと思いました。

(途中から見ても楽しいです!)

この国の記憶に触れる─トゥール・スレン虐殺博物館へ

はじめに訪れたのは、トゥール・スレン虐殺博物館(S21)。

こちらはお墓です。

入場料

  • 大人(外国人):5米ドル
  • 子ども(年齢制限は明記されていませんが、一般的に12歳未満):3米ドル
  • カンボジア人:無料
  • (オーディオレンタル料、大人(外国人):5米ドルも追加でかかります)

1970年代、カンボジアで起こった大量虐殺の舞台となった場所で、 かつては学校だった建物が、そのまま監獄として使われていた痕跡が残されています。

建物に入ると、当時のままのベッドや鉄格子、床に残された血の跡。

そして壁に並ぶ、犠牲になった人々の顔写真。

静かで、動きがないのに、心が揺さぶられるような展示でした。

オーディオを聞きながら、館内を歩いて回ります。

入場チケットを購入したのちに、スタッフさんから日本語の音声ガイドとパンフレットを借りることができるので英語やクメール語がわからなくても安心です。

この場所を訪れて感じたのは、 カンボジアを知るうえで、避けて通れない歴史がここにはあるということ。

50〜60年前に実際に起こった出来事なので、歴史的にはまだ“新しい”部類に入ります。

だからこそ、過去の話ではなく今につながる現実として、胸に迫ってくるものがあるのだと思います。

ショッキングな内容も含まれていますが、 世界中の人が知るべき、そして考えるべき歴史のひとつだと、私は感じました。

カンボジア国立博物館

続いて訪れたのは、赤茶色の建物が印象的な「カンボジア国立博物館(National Museum of Cambodia)」。

アンコール王朝時代(9〜15世紀)を中心に、仏像や神像などが多く展示されており、 石像のコレクションは圧巻でした。

入場料は

  • 外国人(18歳以上):10米ドル
  • 外国人(10〜17歳):5米ドル
  • カンボジア人:500リエル
  • 10歳未満の子どもや学校団体:無料

神さまたちの物語を、ひとつずつ調べながら歩く

よく見るとその多くが、インド神話に登場する神さまばかりでびっくりしました。

展示の解説文はあまり多くないので、 気になった神さまや仏像の名前をその場で携帯を使って調べてみるのもおすすめ!

たとえばChatGPTなどで「ハヌマーン ヒンドゥー教」と検索してみるだけでも、 像が何を意味しているか、どういう物語の中の存在かがわかって、見学がぐっと深く楽しくなります◎

ハヌマーン像

例えば、私が一番好きな「ハヌマーン」は 忠誠と勇気を象徴する猿の神さまです。

古代インドの叙事詩『ラーマーヤナ』では、空を飛んで王妃を救ったり、薬草の山を丸ごと運んだりと大活躍!

青く描かれることも多く、実は『西遊記』の孫悟空のモデルにもなったと言われています。

そんな背景を少し知ってから見てみると、表情やポーズにも想像がふくらんで、ただの“石像”ではなく物語を持ったキャラクターたちのように思えてくるのが面白かったです。

また、館内には「カメラ禁止」のマークがありましたが、 これは本格的なカメラやフラッシュ撮影がNGという意味らしく、 スマートフォンでの撮影を促されました。

(※撮る際はまわりの人の迷惑にならないよう、ひかえめにがベター!)

絵画が語る、今のカンボジアのきらめき

カンボジア国立博物館には石像以外にも、2024年に描かれた絵画作品が展示されていました。

表現の方法が豊かで、金のラメや、ロープなどの素材が使われた、カンボジアらしい装飾性と賑やかさを感じる作品も多く、どれもかわいらしく美しい。

ときおり街で見かけた金ピカの建物や、にぎやかな交通の雰囲気が、絵の中の世界ともつながっているように感じられて、そこがとても魅力的でした。

最後はちょっと息抜き、公園のモニュメントに囲まれて

「エントランス・オブ・トレエリオン・パーク(Entrance of Treellion Park)」という公園にも立ち寄ってみました。

入場料無料

入ってすぐに目に飛び込んでくるのは、いろんな動物たちの巨大モニュメントたち。 どれも独特なポーズや表情をしていて、思わず笑ってしまいます。

全体的にゆるくて自由な雰囲気で、“これはなんの意図でここに置かれてるんだろう?”と想像しながら歩くのも楽しい。 ちょっとした散歩にもぴったりで、写真映えも抜群なスポットでした◎

人通りは少なめで、ローカルの方が屋根付きの小屋でのんびり過ごしている姿も。

南国らしい植物や元気な昆虫たちにも出会えて、パーク全体に生命力があふれていました。

緑が多くて、ただ歩いているだけでも元気をもらえるような場所でした◎

日差しが強いので、日傘を持ったりベンチで休憩しながら歩くのがおすすめです!

次回はカンボジアの生活について

カンボジアの街を歩いていて、日本と比べてお年寄りの姿が少ないように感じました。


トゥール・スレン虐殺博物館を訪れてその歴史に触れたことで、
街の風景にある違いにも理由があるのだと知るきっかけになりました。

さらに遡れば、アンコール王朝という大きな文明の時代があり、
その変化や価値観の移り変わりが、今の街やアートの中にも残っているように感じます。

ただ観光するだけでは見過ごしてしまいそうな背景に目を向けることで、
ひとつひとつのデザインや風景も、より意味を持って見えてきました。


次回は、マーケットや日用品など、もっと生活に近いデザインたちにも目を向けてみたいと思います◎ 

お楽しみに〜!

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Airi Watanabe

2001年7月、北海道旭川市生まれ。
2024年、東海大学国際文化学部デザイン文化学科を卒業

学生時代には介護施設でのアルバイト経験を活かし、職員の方と利用者さんの交流を深めるための企画やデザインに取り組んできました。コミュニケーションを支えるアイデアを形にすることを得意としています。

キャラクターデザインを中心に、「かわいい」テイストのイラストを制作。ZINEやステッカー、グラフィックTシャツなどのアイテムも手がけ、各地のクリエイターイベントに出展しています。

休日はホットヨガで心と体をあたためています。