こんにちは。GEAR8のディレクター待島です。
「会社の周年イベントの企画を頼まれた」
「社史の作り方を調べてくれと言われたけれど、何から始めればいいんだろう」
「15周年記念のWebページを作って、社内外にアピールしたい」
ここ数年、クライアントからこういったご相談をいただく機会が増えました。
ただ、いざ動き出そうとすると、
- 周年記念の企画にはどんなパターンがあるのか
- Webの特設ページや社史コンテンツ、紙の記念誌までやるべきなのか
- 準備は何年前から始めるのが現実的なのか
- そもそも「創業」と「設立」のどちらを基準に周年を数えたらいいのか
といったあたりで手が止まってしまうことが多いように感じています。
この記事では、GEAR8が実際のプロジェクトや自社の周年コンテンツづくりの中で考えてきたことをもとに、
- 10周年、30周年、50周年、100周年など、それぞれ「何年前」から動き始めると安心か
- 準備のために、社内の情報をどう整理しておくと楽か
- Web・紙・ノベルティ・式典コンテンツの優先順位をどう考えると無駄が少ないか
といったポイントをまとめてみました。
これから周年に向けて動き出したい企業の方が、「まずはここから始めよう」と社内で話しやすくなるきっかけになればうれしいです。
周年ロゴや特設サイト、記念コンテンツほかブランディング実績ページはこちら。

創業年と設立年を「周年の軸」として整理する
最初に大事なのは、「会社のスタート」をどこに置くかをはっきりさせることです。
多くの企業では、個人事業や前身組織としての創業があり、その後に法人化しています。
たとえばGEAR8の場合、
- 2008年:個人事業主として「Gear8 Graphics」を創業
- 2009年:株式会社Gear8として法人設立
というように、「創業」と「設立」が別の年にあります。
このような会社では、
- 創業◯周年と数えるのか
- 設立◯周年と数えるのか
によって、記念の年が変わってきます。周年イベントや特設サイトを作るときには、ここを最初に決めておかないと、社内でも社外でも表現がぶれてしまいます。
創業年は「事業として動き始めた年」、設立年は「法人として登記された年」です。
歴史やストーリー性を強調したい会社は創業年を基準にすることが多く、上場企業やグループ全体の安定性を打ち出したい場合は設立年を基準にするケースもよく見られます。
どちらを選ぶにせよ、
「うちの会社は、この年を起点に周年を数える」
という方針を、経営陣・総務・広報のあいだで共通認識にしておくことが、すべての出発点になります。
社史・周年のために最低限そろえておきたい情報
周年イベントや社史コンテンツを考えるとき、必要になる情報はそれほど多くありません。
押さえておきたいのは次のような「節目の年」です。

- 創業年月日
- 法人設立年月日
- 社名変更や持株会社化など、大きな組織再編のタイミング
- 支社・事業所・海外拠点の開設年
- 主力サービスやブランドを立ち上げた年
これらを、社内ポータルや共有ドキュメントなど、誰でもアクセスしやすい場所にまとめておくのがおすすめです。
コーポレートサイトの会社概要・沿革ページ、会社案内パンフレット、IR資料なども、この「元データ」から作るようにしておくと、媒体ごとに年がズレるといったミスを防げます。周年のタイミングでWebをリニューアルするときも、このリストがそのまま設計のベースになります。
古い資料を読み解くための、ざっくり和暦ルール
古い沿革や議事録、契約書など過去の資料には、「昭和50年」「平成5年」といった和暦がよく出てきます。
細かい歴史の話まで覚える必要はありませんが、ざっくり西暦に置き換えるために次の“キーナンバー”だけ知っておくと便利です。
- 昭和 → 25を足す
- 平成 → 12を引く
- 令和 → 18を足す
使い方はシンプルです。
和暦 → 西暦 のときは、「和暦の年」とキーナンバーを足し引きして西暦の下2桁を出します。
- 昭和50年 → 50 + 25 = 75 → 1975年
- 平成25年 → 25 − 12 = 13 → 2013年
- 令和7年 → 7 + 18 = 25 → 2025年
逆に 西暦 → 和暦 のときは、「西暦の下2桁」とキーナンバーで足し引きします。
- 1975年 → 75 − 25 = 50 → 昭和50年
- 2013年 → 13 + 12 = 25 → 平成25年
- 2025年 → 25 − 18 = 7 → 令和7年
例外もありますし、明治や大正まで遡って調べたいといったときは、早見表をネットで検索して確認してしまうほうが確実ですので、参考までに。

周年イベントや社史コンテンツは「何周年から」「いつ準備するか」
次は、「いつ動き始めるべきか」という話です。
会社の規模や業種によって違いはありますが、よく節目として意識されるのが10年区切りのタイミングです。
ざっくり整理すると、次のようなイメージになります。
| 周年 | 準備を始める時期の目安 | どんな内容を検討しやすいか |
|---|---|---|
| 10周年・15周年 | 1〜1.5年前 | 周年ロゴ・キービジュアル、Web上の記念ページ(ロング1ページ)、社長メッセージ、社員インタビュー、簡単なノベルティ |
| 20周年 | 1〜2年前 | コーポレートサイト・採用サイトのリニューアル、沿革ページの見直し、年表コンテンツ、理念・メッセージの再整理 |
| 30周年 | 2年前くらい | Web社史コンテンツ(年表+ストーリー)、OBインタビュー、事業の転機をまとめた読み物、社内報増刊号、記念式典用スライド |
| 50周年〜100周年 | 2〜3年前 | 記念誌(社史)、単独の記念Webサイト、グループ全体キャンペーン、式典用ムービー、本格的な社史サイト(Web+冊子) |
10周年は、「初めて周年をしっかり打ち出す」会社が多いタイミングです。
ロング1ページの記念Webページと、既存ロゴをベースにしたシンプルな周年ロゴ、ちょっとしたノベルティだけでも十分に成立します。歴史を細かく追うよりも、「今何を大事にしている会社なのか」「これからどうしていきたいか」を素直にまとめたほうが、中身のあるコンテンツになります。
20周年・30周年になると、事業の積み重ねも増え、ピボットも起きているはずです。今の主力事業につながる流れを中心に、沿革ページや年表コンテンツ、社内報の増刊号、記念式典で使うスライドや動画などを組み合わせていくと、会社としての信頼感や安心感を支える材料になります。
50周年・100周年クラスになると、もはや会社の歴史自体が地域の歴史と重なっているようなケースもあります。
このレベルになると、記念誌(社史)を作っておくことが、その後の周年でまたコンテンツを作るときの「基本資料」になってくれます。Webでのアーカイブや特設サイトに加え、式典用ムービーやパンフレットなど、紙媒体や動画も含めた総合的なプロジェクトになることが多い印象です。
どのくらい前から準備すると安心か
スケジュール感を、もう少しリアルな感覚で書いてみます。
- 10周年・15周年
- 理想は、情報収集を始めるのが約1年半前、本格的な制作スタートが1年前くらい。
- 先方での情報集めも簡単ではないので、「社内の年表づくり」「写真の発掘」「インタビュー対象者の候補出し」などに半年ほど見ておけるとかなり楽です。
- 30周年前後
- 情報収集と企画だけで1年くらい、実制作で1年くらい、合計2年を目安にすると安心です。
- 「1年間の四季の写真を撮りたい」といった撮影を伴う企画がある場合は、1年半前くらいから動き始めるイメージになります。
- 50周年以上
- 現実的には、2年近くかけてじっくり進める会社もあります。
- ただ、その場合でもすべてを外注でやろうとするとコストとのバランスが難しくなってくるので、「資料の整理や一次情報のヒアリングは社内で」「編集・デザイン・制作は外部パートナー」といった役割分担を考えておくとよさそうです。
じっくり長く時間をかけて作ることは、もちろん悪くありません。
社内メンバーがライフワークに近い気持ちで少しずつ進めていくのも一つのやり方です。一方で、外部に委託して形にする場合については、ある程度の期間で区切って進めたほうが、コストと期間面で現実的だと思います。
「10周年」はいつからいつまで名乗っていい?
さて、実務でよく聞かれるのが、「10周年って、いつからいつまで言っていいの?」という質問です。
基本の考え方はシンプルで、基準日(創業日・設立日)から数えてぴったり10年経った日が「10周年」です。
- 2009年10月1日 設立
→ 2019年10月1日 が「設立10周年」
この「10周年を迎える日」を中心に、どの期間を「10周年イヤー」とするかを決めておくと運用しやすくなります。
- 9年目(9.0〜10.0年):社内の準備期間。
- 10周年を迎える日をまたぐ1年間:Webサイトやパンフレット、採用ページなどで「10周年」を打ち出す記念イヤー。
- その後:
「10周年記念で整えたコンテンツ」という扱いにし、周年ロゴやキャンペーン表現は整理しつつ、社史コンテンツは常設ページとして活かしていく。
この考え方は20周年・30周年などでも同じです。
「◯周年の少なくとも1〜2年前から準備を始める」「◯周年を迎える日をまたぐ1年間を“記念イヤー”として打ち出す」というルールを社内で共有しておくと、バナーの差し替えやコピーの切り替えのタイミングも決めやすくなります。
50周年以上の会社では「材料集め」が特に大事
30周年くらいまでは、今の代表者や創業メンバーがそのまま語り手になってくれるケースが多いです。
一方で、50周年・70周年クラスになってくると、当時を知る人が社内にほとんど残っていない、ということも珍しくありません。
その場合は、
- 創業者の家族・親戚
- 長く在籍していた元役員・OB
- 地域の図書館や新聞社のアーカイブ
など、「生き字引」になってくれる人や資料を丁寧にたどっていく必要があります。
このフェーズでやっておきたいのは、
- 集められる記録や写真は、なんとしてでもたくさん集める
- OBや“昔から知っている人”に連絡を取り、話を聞く時間をちゃんとつくる
- 紙の記念誌や社内報のバックナンバーがあればすべて確認する
という、かなり地道な作業です。
ここを飛ばしてしまうと、「ギミックは派手だけれど中身が薄い周年サイト」や、「箇条書きで辞書のような記念誌」になりがちです。
逆に言えば、素材と証言さえしっかり集まっていれば、派手な演出をしなくても、「当時のことがわかる写真」と「読みやすく編集されたテキスト」だけで十分に伝わるコンテンツになります。
目的別に考える、Web・紙・ノベルティ・式典コンテンツ

やりたいことを全部並べると、「予算的にも時間的にも無理では…?」という状態になりがちです。
そのときは、「誰に何を伝えたいか」を基準に、媒体ごとの優先順位を考えると整理しやすくなります。
対外発信・採用がメインなら、まずはWeb
- 取引先や地域の方、採用候補者に向けて「会社のことを知ってほしい」
- コーポレートサイトや採用サイトから、周年コンテンツにリンクしたい
という目的なら、やはりWebが最優先です。
10周年くらいであれば、ロング1ページの記念ページでも十分ですし、30周年以上なら、少しリッチな沿革・歴史ページや、読み物コンテンツを加えていくと良いと思います。
Webの特性上、「いつでも見られる」「別のページからリンクしやすい」「採用や広報の動線に組み込みやすい」というメリットがあります。
社員と家族に誇りを持ってほしいなら、記念誌や小冊子
社員とその家族に向けて、「こんな会社なんだよ」と伝えたい場合は、紙の記念誌や小冊子が強いです。
- しっかりした記念誌を作るのが難しければ、冊子程度の社内報でも十分
- 家に持ち帰って読んでもらえるので、家族からの反応が返ってきやすい
- 経営陣やベテラン社員の言葉を、落ち着いて読んでもらえる媒体
「社員の家族が会社のことを知って安心してくれた」「いい会社なんだねと言ってくれた」といった声が聞かれることもあります。
取引先への感謝なら、「邪魔にならない」かつ「丁寧なノベルティ」
取引先への感謝を形にしたい場合は、ノベルティの出番です。
ただ、ボールペンや大量の粗品など、「正直もらっても困るもの」になってしまうと逆効果になりかねません。
- 数はそこまで多くなくてもいいので、丁寧に作る
- 相手の手元に置いてもらえるものかどうかを考える
- 会社の雰囲気や事業と結びつくモチーフを選ぶ
50周年・100周年クラスになると配る相手も数も増えるので、どうしても単価は抑え気味になりますが、それでも「きちんと気持ちが伝わるかどうか」のほうを優先して考えたほうが良いと感じます。
100周年のような大きな節目であれば、しっかり予算をかけたノベルティやギフトを用意するのも、ひとつの選択肢です。
記念ロゴは「既存ロゴ+周年数字」で十分なことも
周年ロゴについては、既存の会社ロゴをベースに、「10th」「30th」など周年の数字を組み合わせて作るくらいが、現実的にはちょうど良いことが多いです。
ここで本格的なリブランディング(ロゴの作り直しを伴うような)まで同時にやろうとすると、時間もコストも一気に跳ね上がります。
周年のタイミングはブランドを見直す良い機会でもありますが、「周年ロゴ」と「ロゴ刷新のプロジェクト」は、別レイヤーとして考えておくほうが安全かもしれません。
記念式典のスライドや動画も、立派なコンテンツ
周年のタイミングで記念式典を行う会社も多いと思います。
その場合は、
- 式典用のスライド(会社の歩みやこれからの方針をまとめたもの)
- 会社紹介や社員インタビューを盛り込んだムービー
なども、立派な周年コンテンツになります。
これらは、式典だけでなく、採用イベントや社内研修など、別の場面でも再利用がしやすいので、最初から「使い回す前提」で構成を考えておくと、投資に見合う価値を生んでくれます。
制作会社に相談する前に、社内で決めておきたいこと
「とりあえず相談してみよう」と声をかけていただくのは大歓迎です!ですが、もし次のようなポイントがざっくりでも決まっていると、初回の打ち合わせがかなりスムーズになります。
制作会社に相談するときの準備リスト
- 予算のおおよその枠(このくらいなら出せそう、という感覚)
- 納期(いつまでに何が必要か:周年当日なのか、式典の日なのか、採用開始のタイミングなのか)
- 今ある素材の量と有無(写真・社内資料・過去の社内報・既存のパンフレットなど)
- 明確な担当者(最終的な判断をする方、社内調整を引き受けてくださる方)
- 印刷物が必要かどうか、その場合どのくらい「格式高いもの」にしたいか(簡易冊子なのか、しっかりしたハードカバーなのか、他社の参考例はあるか)
- 文章をどこまで社内で書けそうか(取材してライティングする必要があるかどうか)
- 制作会社側にはどこからの工程を依頼したいか(もし文章は知人に依頼したいのでデザイン以降だけお願いしたい、構成や情報整理から入ってほしい、など)
ここまで固まっている必要はまったくありませんが、「なんとなく頭の中にイメージがある状態」で相談すると、出てくる提案の精度が一気に上がるはずです。
GEAR8のケースに当てはめてみる
具体的なイメージを持つために、当社の場合を例に挙げてみます。
先ほど触れたとおり、GEAR8は2008年に個人事業として創業し、2009年10月に株式会社として設立されています。ですので
- 創業20周年:2028年
- 設立20周年:2029年
という二つの節目がある形です。
自社の周年に合わせて、これまでも
- 15周年のスペシャルページ
- 社員インタビューを通じて価値観やビジョンを語るリール動画
- 記念品としてのクラフトビール(ラベルデザインだけでなく、使用するホップの選定から醸造会社さんと一緒に企画)
といったコンテンツを作ってきました。
もし設立20周年をメインに据えるなら、2026〜2027年ごろから、
- コーポレートサイトや採用サイトの内容を見直す
- 拠点の広がりや事業の変化を見せる年表コンテンツを検討する
- 代表メッセージや社員インタビューの構成を考える
- 必要に応じて、社史的な冊子や式典用スライド・動画にどう展開するかも視野に入れる
といった準備を始めておくと、20周年の年に向けて、Webと紙・動画を組み合わせたコンテンツを無理なく用意できるイメージになります。
まとめ:周年をきっかけに、会社のストーリーを整える
周年は、単に「何年続いたか」を祝うためだけのイベントではなく、過去を棚卸しして、これからの軸を見つけ直すための場だと思っています。
- これまでの自社を振り返るきっかけになる
- これからの未来を考えるための資料になる
- 結果として何を大事にここまで歩んできたかが分かり、経営計画の足がかりになる
と捉えることもできます。
創業・設立の年を整理し、何周年をどのタイミングで打ち出すかを決め、会社の歩みを「誰に何を伝えるためのストーリーにするのか」を考えていくことで、周年は単なるお祝いではなく、これからの自社のストーリーを語るための大きなチャンスになります。
Webだけでなく、必要に応じて紙の記念誌や社内報、式典用のスライドや動画などに展開しておくと、取引先や採用候補者、社員とその家族に向けても、長く活躍してくれるコンテンツになります。
「◯周年に合わせて何かしたいが、どこから手をつければいいか分からない」
「沿革ページを、社史として読めるコンテンツにアップデートしたい」
そんなときは、創業・設立の整理や年表づくりの段階から、GEAR8にご相談ください。
Webサイトの周年コンテンツや社史ページ、必要に応じた紙媒体や式典コンテンツまで含めて、どこまで・どの順番で整えると良いか、一緒にプランを考えるところからお手伝いします。
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