2023.11.25

サイトが古くなったことが理由じゃない。ひとつのお店から、目的が違う2つのサイトが生まれたわけ。

Tomoki Ishioka

こんにちは!佐藤夏希です。
早いもので2023年も残りわずか。年の瀬に「今年は良い年だったな」と思えるように、2023年の残りも過ごしていきたいですね。

さて今回のGEAR8お仕事風景は、2023年1月にリリースしたカフェドロマンさまのWebサイトリニューアルについて、カフェドロマンのオーナー竹口さまとGEAR8の対談インタビューをさせていただきました。GEAR8の担当ディレクターは、石岡朋樹さんです。

美しい紅葉が映える藻岩山と柔らかな日差しの中で、お話を伺いました。

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オープン時のWebサイト立ち上げは、GEAR8。サイトリニューアルもGEAR8に、依頼してくれたのはなぜ?

夏希:本日は、どうぞよろしくお願いします!

カフェドロマン竹口さん(以下、竹口さん):こちらこそよろしくお願いします。

カフェドロマンのオーナー竹口健児さん。カフェドロマンの定休日に、わざわざお店をあけてお話を聞かせてくれました。さらに美味しいコーヒーまでいれていただいて…ありがとうございます!

夏希:今回、Webサイトリニューアルをご依頼いただいたという話を聞いているのですが、2015年カフェドロマンオープン時のWebサイト立ち上げも、GEAR8が担当させていただいていますよね。

竹口さん:そうなんです。立ち上げの時に制作いただいたサイトも好きだったんですが、ここ数年の心境の変化やコロナの影響もあって、Webサイトをリニューアルする運びとなりました。

夏希:気になります。そのお話をこれから聞かせていただけるのですね。

竹口さん:僕は喋るのが苦手なので、うまく喋れるかわかりませんが(笑)。そこは石岡さんにフォローしてもらいながら、お話できたらと思っています。

G8 石岡 朋樹:お任せください。

夏希:朋樹くん、頼もしいですね。ではリニューアルのお話を聞く前に、GEAR8との出会いをお伺いしてもいいですか。

竹口さん:2013年頃に経営に関するディスカッションイベントがあったんですよね。グループに分かれてのディスカッションだったのですが、その時に同じグループだったのが、水野さんです。それが初めての出会いでした。ただお互いこのイベントの時は、自分たちがどんな仕事をしているという話はせず、僕は水野さんのことを「板書が上手な人」として、尊敬していました。

夏希:どういうことですか(笑)。

竹口さん:水野さん、話をまとめてホワイトボードに書くのが本当に上手で(笑)。こういうイベントって、複数の人が関わっているからどれくらいの情報量が出てくるかわからないんですよね。だけど、ちゃんとホワイトボードぴったりに収まるように、話をまとめて書くんですよ。それに毎回感動していました。

夏希:ああ、わかります。最初から書く情報量が決まっていたのかな?っていうぐらい、美しくホワイトボードにまとめますよね。

竹口さん:やっぱり社内でもそうなんですね。そう、それで最後の打ち上げのときに「実は会社やってるんです」ぐらいのライトな感じで、どんなお仕事をされているのか教えてもらったんですよ。そこで、Web制作をしていることを知ったんですよね。その時、僕はまだカフェドロマンを始める事も決めていなかったので、連絡先だけ交換して別れました。

G8 石岡 朋樹:それからどれくらいの期間を経て、連絡をとったんですか?

竹口さん:1年後くらいに、カフェドロマンを藻岩山にオープンさせようと動き出したんです。オープンにはWebサイトが絶対必要だと思っていたので、そこで水野さんに連絡しました。ただ、僕はWebに全く詳しくないので「どういうサイトを作りたいか」を具体的に伝えることができなかったんですよね。
良いサイトにするには、僕もしっかりイメージを伝えたいと思い、当時担当してくれた北川さんに「僕もWeb勉強しようと思います」と話したんです。ところが北川さんからは「勉強しなくて大丈夫ですよ、竹口さんはお店のオープンに集中してください」と言われ、びっくりしましたね。
だって、僕もWebに詳しい方がきっと話も早いじゃないですか?北川さんには「私たちは、竹口さんが作りたいイメージを具体化させるためにいるんですよ」とめちゃくちゃ心強い言葉を言われたのが、今も印象に残っています。

夏希:それはかっこいいですね…。

竹口さん:それからは全てをおまかせしましたね。雑談のようなフランクなヒアリングだったのも、僕には相性が良かったです。
「困ってることは?」と答えをストレートに求められるよりも、「こういう事例があるんですけど、こういうのは困りますよね」といったような少し輪郭をぼかして答えを導いてくれる感じは、GEAR8ならではのヒアリングだと思います。

夏希:そして出来上がったのが、以前のサイトなんですね。

竹口さん:サイトの完成を見た時、「すごい!」と思わず声が出ちゃいました。
発信したい情報が網羅されつつもただの情報サイトじゃない。これからつくっていきたいお店の雰囲気がそのままサイトに落とし込まれていて、自分が作りたいお店はまさにこれ!というサイトでした。

2015年にリリースされたサイトのトップページ。

G8 石岡 朋樹:このサイト、かっこいいし必要な情報がまとまっていて、わかりやすいですよね。

竹口さん:まさによく言われました「かっこいい」。お客様の他にも、オープン時メディア取材も多かったので、その関係の方たちからも好評でした。褒められるたびに、心の中で「かっこいいでしょ!そうでしょ!」といつも思っていましたね(笑)。

コロナ禍で気づいた自身の心境の変化。それがカフェドロマンを成長させるきっかけに。

夏希:新規サイト立ち上げは好評に終わり、リニューアルしなくてもよさそうですが…。

竹口さん:ね、そう思うんですけど。2019年ぐらいにオープンから4年経過していたこともあり、なんとなくそろそろリニューアルしたいなと思ってたんですよ。ただコロナが流行りだして、お店も休業せざる得なくなってしまって…。

夏希:飲食業は、まさに大打撃でしたもんね。

竹口さん:そうなんですよね。それまで忙しくしていたのに、コロナで急に時間がぽっかり空いてしまうことで、自分自身も少し体調を崩してしまって…。お店を続けるかさえも結構悩んでいました。

夏希:辛いですね。

竹口さん:この時期はしんどかったですね。それでも、お客様から「竹口さんには、待ってくれているお客様もお店のスタッフもいるじゃない!」と励まされて、店を続ける決意をしました。ただ、続けるにしても以前と同じ気持ちじゃだめかなと思って。

夏希:それは、なぜですか?

竹口さん:カフェドロマンを、コーヒーや食事のなにか一つが秀でているお店にしたいわけじゃなくて、「なんかカフェドロマンっていいよね」と思ってもらいたいんですよね。お店全体の空気感的なもの、というのでしょうか。そして、僕と同じ「なんかいいよね」という気持ちで足を運んでくれる人を大切にしたい、と思ったんです。

朋樹:「なんかいいと思ってもらいたい」というのは、サイトリニューアルのヒアリングのときに、よく聞いたワードですね。

竹口さん:そうですね。これもヒアリングで無意識に言ってたみたいで(笑)GEAR8のヒアリング力はすごいなと思ってます。

夏希:ではコロナが収まってきてから、割とスムーズにサイトリニューアルが進みましたか?

竹口さん:いえ、全然(笑)前のサイトは「お店がオープンします!住所はここで、商品ラインナップはこれです!」といった、枠がある程度あったんですけど、今回は全くない。さらに言えば、サイトに不自由さを感じてない状態なんですよ。なのでリニューアルしようにも何をどうすればいいかわからなくて。ただ僕の中にある、言葉にできない想いはあったのでリニューアルはしたかったんですよね。

G8 石岡 朋樹:なので、まずはその竹口さんの中にある「言葉にできないなにか」を引き出すことから始めました。じっくりお話を伺っていくと、「今まではお店を軌道にのせるために頑張ってきたけど、今は居心地の良い空間を提供したい方がメインになった」という言葉が出てきたので、竹口さんはお店のブランディングがしたいのかもしれないと結びつきましたね。

夏希:ブランディングって、今回で言うとお店が持ってる元々の価値に対して、お客さまからの共感や信頼がプラスされることで、よりお店としての価値をあげることだよね。

G8 石岡 朋樹:はい。既にお店には知名度があり、来店する人はInstagramやGoogle Mapsで住所やメニューなど知りたい情報を入手できる状態でした。なので、以前のサイトに載っている情報と少し被る部分が出てきたんですよね。さらに、竹口さんの想いを伝える内容が少なく、もったいない状態だと僕から見て思いました
そこで、竹口さんの想いや現在のカフェドロマンのスタンスを伝えるサイトにリニューアルしませんか?と提案したんです。

夏希:なるほど…。

G8 石岡 朋樹:ただ言葉や資料で提案しても伝わりづらい部分もあったので、僕の中で提案したい内容と竹口さんから出てくるワードを、ワイヤーフレーム(デザインをする前のWebサイトの骨組みになるもの)に落とし込んでいったんですよね。そのワイヤーフレームを、そのまま竹口さんに見てもらったんです。それでズレてたら軌道修正して、形にしていこうと思っていたら…。

竹口:まさしくそういうこと!と、そのままOKです。

G8 石岡 朋樹:通常ここからデザインや構築に進みますが、今回はコピーを先に作ろうと社内で案がでました。デザインやアニメーションよりも、文字はダイレクトにお客さまに気持ちを伝えることができるので、今回のサイトには適していると思ったからです。
さらに、コピーに寄り添うようにデザインやアニメーションをつけることで、サイト全体の雰囲気が作りやすくなるというのもありましたね。

夏希:コピー作りはだれが担当したの?

G8 石岡 朋樹:水野さんと北川さんと僕の3人で、アイディアを持ち寄って、全部で10パターンほど作りました。

竹口さん:「10パターンできたので見てみてください」と石岡さんに言われて、見たらどれもよかったんですよね…。だけど面白いのが、どのコピーが良いか多数決をとったら全員一致で今のコピーを選んだんですよ。

夏希:それもすごいですね。

これが満場一致だったコピー。

G8 石岡 朋樹:実はコピー決めの前に、竹口さんが僕に話してくれたことを体感したくて、こっそりお店にお邪魔してみたんです。この場所に流れるゆったりとした時間、木々の葉音や鳥のさえずりの中でいただくコーヒーは本当に美味しくて、一息つく心地よい時間を過ごすことができました。

夏希:確かにこの雰囲気は、唯一無二だよね。制作する上で気をつけたところはある?

G8 石岡 朋樹:今回は集客ではなくブランディングが目的のサイトなので、お店の情報テキストは見る人が必要だと思う最小限にして、コピーやデザインでお店の雰囲気やコンセプトを伝えることを意識して、サイト制作をすすめました。

夏希:竹口さんにサイトリリース後、まわりの反応を伺ってもいいですか?

竹口さん:正直に言うと「物足りない」や「あっさりしている」といった声もありましたよ。でもそれを聞いて、僕は成功したなと思いました。
以前のサイトは、情報量やページ数も多く奥行きがあるように作っている。なので、確かに見ごたえはあったんです。ただお店も僕もまだ成長していなくて、コンセプトが反映できなかったんですよね。
今回のサイトは、お店のコンセプトがしっかり反映されていている。このサイトを良いと言ってくれる人は、ご来店して頂いた時もイメージとズレないで「雰囲気の良いお店だね」と思ってもらえると、自信をもっています

G8 石岡 朋樹:僕が言うのも変ですが、このサイトのイメージのままで来店してもらえれば、多分イメージしたままの味や雰囲気を提供できると思うんですよね。

竹口さん:石岡さんと同じことを僕も思っています。同じコーヒーでも、気持ち次第で味って変わってしまうと思うんです。できればこのサイトのコピーやデザインのように優しい気持ちで、このお店での時間を過ごしてほしいと思います。

GEAR8と仕事することで、物事に対する考え方が変わった。

夏希:竹口さん、朋樹くんとお仕事してみてどうでしたか?

竹口さん:石岡さん、めちゃくちゃ頼もしかったですよ!

G8 石岡 朋樹:嬉しいです(笑)。僕、カフェドロマンさんを担当させていただいたのが、入社してから2社目のクライアントさんだったんです。前職でディレクションやサイト制作はしていましたが、まだGEAR8式のディレクションがわからなくてドキドキしていたんです。

竹口さん:そうでしたよね。石岡さん、質問したらすぐに返信してくれるし、知識の守備範囲が広くてびっくりしましたよ。ボタンのテキストひとつとっても、例えば「予約はこちら」と一般的なテキストがあったとして「このテキストの方が、こういう理由でユーザーは進みやすいです」とロジックを立てて、説明してくれるんですよね。あと、ワードリストを見せてくれたりして。

夏希:ワードリスト…?

G8 石岡 朋樹:(満面の笑みで)こういう場合は、このテキストがおすすめですっていう一覧があるんです。

夏希:ええ、すごい!朋樹ワードリストが存在するのね(笑)。

G8 石岡 朋樹:(笑)。そうですね、なるべくクライアントの疑問はすぐに解決するようにというのは心がけていますね。そのために、必要な情報があれば前段階で準備してあることが多いかもしれません。

竹口さん:安心感というよりは、頼もしさを石岡さんからは感じていましたね。

夏希:GEAR8とお仕事してみてはいかがですか?

竹口さん:(少し考えてから)すごく勉強になります。学ぶことが多い。エンドユーザーのさらに先にまで、目を向けて考えることの重要さに気付かされます。
それは僕の身近なことでもよく活用されていて、例えばお店のメニューを考える時に「お客さまは、メニューを見てどんなリアクションをとりたいか」から考えるようになりました。最近始めたパフェやアフタヌーンティーなどは、まさにその考えから始まりましたね。やっと人に会えるようになってきて「誰かと一緒に味わいたい」や「この時間を共有したい」といった気持ちの人が多いんじゃないかな?と気づいたんです。結果「このパフェ、友達と食べたくて来ました」や「3年ぶりに会う友人と、たくさん喋りたくてアフタヌーンティーを頼みたいです」といった声をいただきましたね。

夏希:そんな良いお話が…。帰ったら水野さんに伝えますね。

竹口さん:もちろんWebディレクションや制作部分でも、すごいと感じる部分はたくさんあるんですが、GEAR8と仕事して一番大きく影響を受けているのは、考え方でしたね。

夏希:ありがとうございました!

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カフェドロマンの竹口さんとディレクターの石岡朋樹さんの対談をお届けしました。

新規サイト立ち上げとリニューアルで、2回サイト制作をGEAR8に任せてくださった理由を聞きたいと思って行った、今回の取材。
1回目の新規立ち上げは、集客目的で制作。2回目は、ブランディング目的で制作しているので、目的が違うけどそれを同じ会社が行うのが面白いなと思って聞いていました。

全く違う目的のサイトでも作れちゃうのが、GEAR8らしいなと感じていて。
型にはまった制作方法じゃないので、どんな目的のサイトでも作ることができる。さらに、常にクライアントが解決したいことに目が向いているので、そこは制作する上でズレない。竹口さんと朋樹くんのお話を聞いて、GEAR8のバランスの良さを改めて感じた取材となりました。

さてさて最後に、ゆるい裏話をすると、この日札幌は過去最高の雪虫発生日でした(笑)。
例にもれず藻岩山もすごい雪虫の数で、私も運転中に「なんかもやがかかっている…霧かな…?違う、雪虫のウェーブだ!」と驚いてしまうほどでした…本当にすごかった。
なので、外での2ショットの撮影も躊躇していたのですが、おふたりとも「大丈夫ですよ!」と即答。飛び交う雪虫の中で、かっこよく決めてくれましたね。
雪虫に一番「ひいいい」と思っていたのは私で(笑)、カメラには付かないで欲しいし、撮影に夢中になって雪虫ウェーブの中にダイブして「ひいいい」ってなってました。

さて、次回はどんなSummitをお届けできるのでしょうか。お楽しみに!

Cafe de Roman サイトリニューアルの制作プロジェクトストーリー

[ブランディングを意識し、スタンスを正しく理解してもらうためのWebリニューアル]

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Tomoki Ishioka

1991年9月生まれ。ディレクション業務を主に担当。担当動物はトナカイ。

不動産営業を経験したのち、没頭できるような楽しめることを仕事にしたいと思い2018年1月にWeb業界へ転職。デザイン・構築・ディレクションを一通り経験したのち、ディレクションをより深く学びたい・突き詰めたいと考え、2022年5月にGEAR8へ入社し今に至る。入社前にタイと台湾にプライベートで旅行した過去がありGEAR8とは謎の縁を感じる。

好きなことは食べること。好きな食べ物は寿司・蕎麦・蟹。この順位は数年更新されていない不動のランキング。1週間の疲れを翌週に持ち越さないよう毎週必ずサウナに行くというこだわりがある。